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体外循環(人工心肺)
心臓手術(開心術)では、上下大静脈から血液を人工心肺装置へと誘導し、人工肺で酸素を与えて大動脈から全身へと返します。全身の酸素を確保している間に、心臓を止めて心臓内の修復を行う訳です。この身体の外を通る血液の流れを体外循環といいます。
体外循環中は、血液が人工肺やチューブの中を流れます。この際、血液がチューブなどの異物と接触することにより、白血球やリンパ球が活性化され、さまざまな血管作動性物質を放出します。この物質が全身組織の炎症反応( systemic inflammatory response syndrome : SIRS )、即ち、心筋や肺の障害、浮腫などに繋がると考えられています。従来、特に低体重児ではこの影響が強く出ることが大きな問題でした。短時間の体外循環であってもSIRSへの対策が重要であります。多くの方策が講じられていますが、当院の特徴の二つを以下に示します。
- 人工心肺装置の充填量削減
血液が通過する人工肺やチューブ内の容量を充填量と言います。血液との接触がSIRSの始まりですので、当然この充填量を減少させ、血液との接触面積を減らすことが第1に必要となります。当院では、後述する無輸血開心術の適応拡大も加わって、世界に先駆けて充填量の削減に取り組んできました。現在では充填量130mlの超小型人工心肺装置も作動可能となっております。
- 限外濾過
血液透析器を用いて、濾過や吸着により、血管作動性物質を除去もしくはその発生を抑制する方法です。当院では、現在まで、polypropylene膜、polysulfone膜、polyacrylonitrile膜の3種類の透析器を用いて、血管作動性物質抑制効果について比較検討してきました。polyacrylonitrile膜は血管作動性物質の有効な吸着能を有し、polypropylene膜やpolysulfone膜に比べて、体外循環中だけでなく、体外循環後の血管作動性物質の抑制にも有効であることが判明しました。 この方法により、特に新生児と乳児開心術において、術後の強心剤の使用量低減と人工呼吸器管理時間(人工呼吸器が取れるまでの時間)の短縮が可能となっています。
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