財団法人日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院

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無輸血手術と血液使用量の削減

無輸血手術と血液使用量の削減には、輸血の問題点の回避という観点から低侵襲を目指す目的があります。

  1. 現在、血液によるウイルス感染という問題は解消されつつあると言って良いかもしれません。しかし、その可能性が完全に回避できない現状において、無輸血手術を目指すこと、もしくは、血液を使用したとしても使用量の削減に努力することは、外科医の重要な責務と考えます。

  2. 輸血には、ウイルス感染以外にも、血液内の血管作動性物質による非溶血性副作用など、臨床経過に影響を与える問題も多く存在しています。1999年より日本赤十字社からの血液供給体制が変更され、現在では、主に、献血後5日目以降の成分輸血供給となりました。比較的古い血液を新生児や低体重児に使用することの影響についても考えなければなりません。体重3〜4kg心室中隔欠損症(VSD)の手術においては、無輸血とした方が術後の人工呼吸器管理時間が有意に短いというデータもあります。

  3. 現在の医学では特定できない病原体の可能性もあります。輸血を受けたという将来的な精神的不安を無くすということも重要と考えます。

1994年7月〜2004年12月に、人工心肺を用いた無輸血手術の数は2107例で、内1995例(94.7%)において輸血を回避できました。この間、無輸血手術の適応は徐々に拡大しており、1999年以降は、無輸血手術が不可能であった、体重3〜4kg心室中隔欠損症(VSD)の低体重児や、胸骨再切開症例、重症チアノーゼ性心疾患の手術(ラステリRastelli手術、フォンタンFontan手術など)においても、90〜95%の子供たちが無輸血で退院できています。無輸血手術では、脳神経系の障害や術後の循環・呼吸動態の悪化、術後治療期間の延長などが危惧されますが、当院では、

  1. 手術中の脳内局所酸素飽和度の極端な低下や変動を示した症例は無く、無輸血が原因と考えられる脳神経学的異常所見を残す症例は皆無で、遠隔期の精神運動発達も正常範囲

  2. 体重3〜4kg心室中隔欠損症(VSD)でも術後の人工呼吸器管理時間は平均5.5時間と短時間であり、術後の循環・呼吸動態は極めて良好でした。現時点において、無輸血とすることが総合的な手術のqualityに影響を与えることは無いと判断しています。

もちろん、輸血は現在の医療において重要な役割を担っていますし、また、無輸血手術には解決していくべき課題も多く存在します。今後とも、無輸血手術の意義について充分に検討していく予定です。

榊原記念病院 〒183-0003 東京都府中市朝日町3-16-1
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