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手術・麻酔時間の短縮
手術は、当然、安全かつ確実に行うことが重要です。手術の流れの中には、より確実に時間をかける部分もあります。しかし、総合的にはすべての時間を短縮させることが、以下の理由において、心臓外科での最も重要な低侵襲対策と考えます。
前述したように体外循環は身体に大きな侵襲をもたらしますので、その時間を短縮させることが最も重要となります。一方、手術・麻酔そのものも、術後の炎症反応の増加や酸素消費量の増加につながるという報告もあります。実際に、体重3〜4kg心室中隔欠損症(VSD)の術後人工呼吸器管理は、体外循環時間だけでなく、手術時間・麻酔時間が長い方がより長期になるという結果でした。最近の麻酔時間は、代表的な病気である、心房中隔欠損症(ASD)や心室中隔欠損症(VSD)が90〜120分、ファロー四徴症(TOF)は150〜180分と短縮されております。現在まで、長い手術・麻酔が術後臨床経過に与える影響について、正確に評価された報告はありません。しかし、特に、肺高血圧の合併や術前状態の悪い低体重児において、麻酔時間が3〜4時間以上であった以前よりは、出血量や強心剤の使用量などを含め、術後の全身の回復がはるかに良いという印象を強く持っています。素早く、安全かつ確実な手術が心臓手術における最も重要な低侵襲対策と考えます。
手術のタイミングを考えることも、心臓手術の低侵襲を考える上で重要です。早期に手術が必要との依頼があった場合、現在の手術状況では少し待ってもらわなければならないことがありますし、また、緊急手術となった場合では、予定手術を延期せざるをえないこともあります。しかし、可能な限り、このような状況を避けたいと考えています。中には、待機中に状態が悪化することもありますし、低体重の心室中隔欠損症(VSD)では、術前に人工呼吸器管理が必要となった場合、術後の成長発達に問題が残るというデータがあることがその理由です。個々の子供に合わせて必要な時期にタイミング良くいつでも手術を行える体制が必要であります。このためには、常日頃から、手術・麻酔時間の短縮化を考えておかねばなりません。
前述したように、すべての依頼を断らない、また、子供の状態に合わせた待たせない手術を目指してきましたが、結果として、2004年は435例であり、手術日は365日中250日、内1日2〜4例の手術が152日でした。しかし、1日2例以上であっても、多くは夕方17時までに終了できております。少しおかしな話ですが、このことも手術の低侵襲につながっていると考えます。手術・麻酔時間が長く、手術チームが体力的または精神的に疲れてしまうことは、翌日に手術する子供に迷惑がかかることが理由です。僭越ですが、確実かつ素早く手術を行い、私ども医療従事者の手術環境を良くすること、このことも手術の低侵襲化のための大事な方策です。
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